どん亭とは何か
沖縄に全国チェーンの牛丼店が進出したのはわりと遅い時期で、1990年代に開店した「吉野家」が最初らしい(しかしうまくいかず、いちど撤退している)。その後、再進出を果たした「吉野家」、2007年に進出した「すき家」、2020年に「松屋」と、現在は牛丼チェーン店の三つ巴の戦いが繰り広げられている。
しかし、我々は忘れてはいけない。沖縄にある第4の牛丼チェーン店どん亭のことを。
どん亭は、本社が神奈川にある株式会社富士達が経営する牛丼チェーン店であり、創業は1982年。関東と沖縄に出店するというちょっと変わったスタイルだったのだが、2025年に神奈川県の店舗が閉店し、現在は沖縄県内の3店舗のみとなった。
ちなみに株式会社富士達はどん亭の他に、焼肉チェーン店「七輪焼肉 安安」も経営している。

どん亭の三本柱といえば、牛丼・沖縄そば・カレー。内地のどん亭はどうだったのか知らないが、沖縄そばがメインメニューに組み込まれているあたりが沖縄っぽいんじゃないだろうか。


入り口にある食券機。期間限定A〜Eや大盛券なんてものもあるのだが、よく分からない。

こちらは牧志店の店内なのだが、各席の仕切りに東屋のような骨組みが建っている。はじめてどん亭を訪れた時からずっとこの内装だった気がするのであたりまえの光景だったのだが、改めて見るとなかなか不思議な内装だ。
こちらがどん亭の牛丼。みそ汁がついて530円は良心的な価格だ。見た感じはいたって普通の牛丼だが、他のチェーン店の牛丼と比べて若干肉の色が濃い気がする。ちなみに丼も吉野家っぽいデザインだ。

卓上には紅ショウガや七味も並んでおり、他店同様カスタマイズして楽しめる。

味わいはというと、この時たまたま煮詰まっていただけかもしれないが、かなりタマネギの色が濃くトロトロになっており全体的に甘め、濃いめ。暑く汗をかきやすい沖縄の気候にあわせて多少アレンジされているのかもしれない。
実はどん亭の創業者は吉野家に就職したのだが、その2年後に吉野家が倒産(会社更生法を申請)。それを機に創業したのがどん亭ということである。もしかしたらどん亭の牛丼には、あの頃の吉野家の味が継承されているのかもしれない。
こちらはどん亭の沖縄そば。
専門店のこだわりの一杯みたいなものではなく、オーソドックスなノーマル沖縄そばでこういうのが無性に食べたい日ってある。

かつお出汁のスープにとろとろの軟骨ソーキが美味しかった。
飲んだ後のシメは「どんスペ」だ
以前の特集記事でも紹介したことがあるのだが、「沖縄では飲んだ後のシメにステーキを食べる」という俗習がテレビで紹介され話題になったことがあった。これは結局のところ、一部の地域・年代がやっていたのを誇張してTVで取り上げられてしまった感じだと思うのだが、ステーキのように沖縄県民の飲みの後のシメには一定数「どんスペ」派が存在している。
さて、どんスペとは何か?
こちら、「どん亭スペシャル」のことである。どんスペはカツカレーに牛丼の肉がのった、圧倒的なボリュームで殴ってくるどん亭最上位のメニューである(さらにその上に「どん亭スペシャルセット」もある)。2026年現在の価格は1,100円だが、かつてはまさかの650円くらいだった。

かくいう私も飲み会終わりはどんスペを頼んだ記憶しか無い(シメにするには明らかにボリュームがありすぎる気がするけれど)。どんスペは青春の味がする。だいたい酔っ払っているのでそこまでちゃんと味を覚えているわけではないのだけれど。

記事を書くに当たって昼に改めて食べてみたが、普通においしかった。
那覇で飲んだらどんスペで締めるというのはひとつのカルチャーであり、青春の1ページでもある。今の若者も締めにどんスペを食べているのだろうか。
どん亭よ永遠なれ
どん亭はかつて沖縄に15店舗くらいあった時代があり、お店毎に独自性を打ち出していた。
たとえば那覇市開南にあった店舗ではステーキセット・カレーセットが500円で食べられたし、沖縄そば食べ放題というすごいメニューもあった。Xで教えてもらったのだけれど、歓楽街の那覇市松山にあった店舗ではお茶漬けがメニューにあったらしい。
そんなどん亭も徐々に閉店していき、那覇市内の2店舗を残すのみとなってしまった時期があった。誰もがなんとなく「どん亭はそろそろなくなってしまうのでは...」とうっすら思っていた。
しかし2023年、豊見城市にまさかの新店舗がオープン。これにはどん亭ファンからも驚きと喜びの声があがった。

新たなどん亭の豊見城店は広く明るく駐車場完備とファミリーでも訪れやすい店舗となっている。

無料の折り箱もあったので、どんスペ挑戦も怖くない!

ささやかながら今も新メニューが登場していたり、公式サイトもいつの間にか今風に生まれ変わっていたり。そう、どん亭の火はまだ消えていないのだ。
なかなか観光で訪れるようなお店ではないが、この火を燃やし続けるためにみんなで行こうぜ。どん亭へ。


